サイドストーリー

SLS:始まりの時
「・・・・僚機依頼?」
今、起きたかのような目でクイークはパソコンに向かっていた。
これが普通だと分かっているのは、ごくわずかなレイヴンである。
「依頼者は・・・フドーケン?」
聞きなれない名前だな、とクイークは首を傾げた。
依頼の内容はこの様な物だった。
『クレストの新造要塞の共同陽動を依頼します。一人でも可能なのですが、念には念を入れる必要があると思い、依頼をしました。
一緒に受けてくれることを願います。』
(レイヴンには珍しく、礼儀が正しい奴だ。)
クイークは、了解、とメールを打った。

丁度、クイークがフドーケンというレイヴンからのメールを見て、返信メールを送った時、
クレストの新造要塞に向かい、二機のACがブーストを吹かしていた。
一機は、色は全体的に暗い赤。カメラアイは、赤く輝いていた。武装は、右腕にマシンガン。
左腕に月光を装備していた四脚。コアタイプはOB。
一機は、色は基本は黒地に関節部分が赤。更に、所々に青。カメラアイは真っ赤に輝いていた。
あと、右腕は白く、他が赤い所は灰色になっている。武装は、左肩にグレネードランチャー。
右腕にプラズマライフル。左腕に1551ブレードを装備している軽二脚。コアタイプは、OBか、EOか分からない。
「かなめ、聞こえるか。」
「何?カイザル。」
四脚のパイロット、カイザルが軽二脚のパイロット、かなめに話し掛けた。
声から察するに、カイザルは二十代前半の男性。
かなめは17歳位の少女。
「そこに、本当にいるのか?」
「ええ、確かな筋からの報告よ。」
「分かった。」
その後、何の話も無く、ブーストを吹かし続けた。

「敵戦力の撃滅を確認。」
ミッションをしていたクイークが自分のオペレーター、ライに言う。
「了解した。相棒のほうも、完了したみたいだ。」
「その様だ。」
そこは、クレストが建造していた新造要塞。
そこで、相棒となった一人のレイヴン、フドーケン。
フドーケンの機体、スラッシュは、色は、白と黒、赤、青でカラフルに塗られいるが、武装は、右腕に赤ライフル。
左腕にハンドグレネード、左肩に中型二連ミサイル、エクスに連動ミサイルを付けており、バランスは取れている中二脚。
コアタイプはOB。
それと、クイークの機体、ムーンマスターは、色は、全体的に白っぽい黒。武装は、右腕に自ら考案したランスガン。左腕に月光。
右肩に小型30発ロケット、左肩に中型二連ミサイルを装備している中二脚。コアタイプはOB。
ランスガンとは、クイークがパイルより扱いやすい接近戦武器として開発した武装。
ナイトが持っているランスの持つ部分を銃器のトリガーとグリップをつけた形をしており、ACの半分くらいの大きさがある。
しかし、重量はKWB−MARSと同じである。
ガンモードとランスモードに切り替えることができる。
ガンモードは一回だけ突く部分を飛ばす(主に最後の切り札として使う)。威力は、ACを簡単に貫く。
ランスモードは、引き金を引いている間、突く部分が高速回転をする。いわば通常モード。威力は、月光と同等。
ちなみに依頼は簡単だった。
要塞に工作員が潜入するまでの間、敵部隊を攻撃して時間稼ぎ、もしくは撃破。
もっとも、クイークにとっては楽であった。
この時は・・・・。
「情報を入手した。これより脱出を・・・・・A、AC!?ドワァー。」
「クイーク、ミラージュ社から緊急の依頼だ。」
「フドーケン、緊急の依頼よ。」
ライとフドーケンのオペレーター、エマの声が被る。
「どっちかが喋れ。」
「あなたが・・・・。」
「君が・・・・。」
「ライ、お前が言え。」
クイークが言う。その声には、威圧感あり、オペレーター二人と喋ってはいないが、フドーケンは引く。
「あ、ああ。施設にACを確認。それを迎撃せよと。」
「了解。行くぞ。」
「ああ。」
クイークとフドーケンは、施設に潜入した。

「地上の防衛部隊は壊滅したみたいです。」
「その様だ。」
施設の地下。一種の動力部に、二体のACがいた。
一機は、色は赤と青。武装は右腕にフィンガーマシンガン。左腕に月光。左肩に小型50発ロケットの軽二脚。コアタイプはOB。
一機は、色は黒と暗めの青。左腕は金色。武装は右腕にマシンガン。左腕に月光。両肩にレーダーを装備した軽二脚。コアタイプはOB。
「・・・・来たぞ。」
赤と青のACが言った直後、200メートルくらい先にある通路が開く。
そこから、二体のACが出てきた。
「二体のACを確認。ランカーACムーンマスターとスラッシュです。」
防衛AC二体のオペレーター、レインが言う。
「クイークと・・・・もう一機のパイロットは誰だ?」
「フドーケンと言う新人です。」
「・・・・ムーンマスターは私がやる。新人はミリィ、お前が相手をしろ。」
「了解です、師匠。」
ミリィと言われた少女は、黒と暗めの機体をスラッシュへと動かした。
赤と青の機体も、ムーンマスターへ動き始めた。

「敵はランカーのカイルとミリィ。気を抜くなよ。」
ライは、クイークとフドーケンが部屋に入る前に言った。
「あの二人が相手か・・・・辛いな。」
クイークは、呟きながら、扉を開けると、中に入る。フドーケンもそれに続く。
すると、反対方向に二機のACが見えた。
「知ってるんですか?」
「ああ・・・管理者の崩壊事件、知ってるな。」
「はい。ニュースで見ましたから。」
「カイルはその管理者を倒したレイヴン。ミリィは、管理者破壊後、弟子に志願したレイヴンだ。」
「強敵ということですか。」
「そういうことだ。」
話し終わると、二機のACが動き始めた。
「ランカーACゾイルネスと偵察型フォーニングを確認。」
「ゾイルネスは俺が。偵察型フォーニングはお前が相手らしい。」
「その様です。行きますか。」
クイークとフドーケンは戦闘を開始した。

地下で戦闘が始まろうとした時、要塞近辺にMTのカイノスとギボンの部隊が待機していた。
「防衛部隊は壊滅のようだ。」
その中で、リーダーと思われるカイノスのパイロットが呟いた。
「仕方ない。何人か施設に入って味方の援護に・・・・。」
その時、後方からプラズマ弾がいくつも飛来し、MT部隊は壊滅された。
「な、何が起こった・・・?」
その中で、唯一直撃を逃れたギボンのパイロットが、モニターを見る。
そこにいたのは・・・・・。
「あ、あれは・・・・!」
パイロットは恐怖した。
そこにいたのは、二機のAC。
四脚と軽二脚のAC。
「あ、ああ・・・。」
その時、四脚のACが接近して、ブレードでギボンのコクピットを貫いた。

「よっ。」
「はっ、と。」
カイルのゾイルネスの月光とクイークのムーンマスターのランスガンが火花を散らす。
ランスガンには、特殊なエネルギーコーティングが施されており、実弾、エネルギー弾両方を弾く。
更に回転させることにより、月光を受け止めることもできる。
クイークは、フドーケンのほうを見た。
両者は間合いを取り、右腕の武器で隙を窺っている。
「・・・・・ん?」
その直後、レーダーに反応。
反応は二機。
距離は約三百メートル。
「!!」
クイークは、エレベーターに続く扉を見た。
「どうした?」
カイルも見る。
その直後、扉が何かの攻撃を受け、融解した。
「何だ!?」
「何!?」
ミリィとフドーケンも見る。
そこから、地上にいた部隊を撃破したAC二機が現れた。
「あれは・・・・・。」
何者だ?とカイルが言いかけた時、軽二脚はグレネードランチャー。四脚はマシンガンを連射してきた。
四人は何とか避けるが、ミリィとフドーケンのほうには軽二脚のAC、クイークとカイルのほうには四脚のACが接近してきた。
「クイーク、フドーケン、聞こえるか?」
「カイル、ミリィ、聞こえる?」
ライとレインの声が被る。もっとも、レインの声はクイークとフドーケン。ライの声はカイルとミリィには聞こえないが。
「何だ?」
「何のようだ?」
カイルとクイークが答える。
「クレストとミラージュからの共同の依頼だ。要塞に潜入したACを破壊せよと。」
レインの言った内容は、ライと一緒の為、省略。
「了解。最も、あいつは俺を目標としている様だしな。」
「?」
クイークの言葉にフドーケンとカイル、ミリィは頭にハテナマークを浮かべる。
「了解。」
ライのその言葉を合図に、クイークは、OBを吹かし突っ込んだ。
四脚ACはマシンガンを連射しながら、突っ込んできた。
クイークは、中量級とは思えない軽快な動きでマシンガンを避け、ロケットを打ち込み、相手のバランスを崩す。
「もらった。」
その隙を逃さず、ランスガンをガンモードにして敵ACのコアに向け、発射する。
四脚ACは、素早く体制を立て直すと、右方向にブーストダッシュをし、コアの直撃は避ける。
しかし、左肩を貫かれ、左腕は地面に落ちる。
「・・・・。」
クイークとカイルは、無言でブレードを構える。
四脚ACは、勝ち目無しと判断したのか、撤退した。

「あっちは戦い始めた。こっちも行くか。」
フドーケンは、ライフルを構えた。
「そうね。」
ミリィも、マシンガンを構える。
二人は、軽二脚の敵ACに突っ込む。
敵ACは空中に飛ぶと、右腕のプラズマライフルを連射してきた。
「なんて奴だ。空中でプラズマライフルを連射するとは。」
「エネルギー切れないのかしら。」
フドーケンは、ミサイルに切り替えると、中型ミサイルと連動ミサイルの集中攻撃をする。
敵ACは、中型エネルギーEOをみたいなものを出すと、OBみたいなブースト移動をし、ミサイルを避け、攻撃をする。
「くっ!」
急な攻撃に、フドーケンは避けられずに当たる。
「EOとOBを両方つけたコアなんて、知らないわよ。」
そんな事を言いながら、ミリィはOBで敵ACに急接近、月光で切りつけようとする
が、
「何!?」
相手のブレードが月光を受け止めた。
外見のタイプは、1551ブレード。
新人の頃に支給されるACにつけられている武器である。
軽量ではあるが、威力も最低。
しかし、敵ACが装備しているブレードは、威力が月光並に跳ね上がっている。
そのまま、ミリィと敵ACは切りあいに入る。
しかし、相手のほうが一枚上手だったようで、一瞬の隙を突かれ、左腕を切り落とされる。
ミリィはマシンガンを連射しながら後退する。
相手は、プラズマライフルを構え、発射しようとするが、
「もらった!」
後ろから、フドーケンのスラッシュが現れ、ミサイルと左のハンドグレネードのラッシュを浴びせる。
敵ACは避けきれずに、全弾当たるが、
「な!?」
「なんて奴。」
敵ACは、右腕を盾にしたようで、右腕は無くなっていたが、それ以外はほとんど無傷であった。
二人は右腕武器を構える。
敵ACは、流石に不利と判断したのか、離脱した。

「予想以上の戦果か。」
クイーク達がAC二機を撃退した時、新造要塞の上に、一機のACがいた。
マントを装備しているため、色は分からないが、カメラアイだけ赤々と輝いていた。
「あと、時の流れが私の予想通りに動くかどうかだな。」
謎のACのパイロットは、奇妙なことを呟くと、機体を動かし、離脱した。


次回予告
謎のAC二機が奇襲し、撃退した依頼から三日後。
依頼をこなし、帰還するフドーケンの元に謎のACが奇襲する。
それは、新造要塞で出会った軽二脚のACであった。
果たして、フドーケンは敵ACに勝てるのだろうか。

後書き
久しぶりに書きました。
流石に疲れました。
とりあえず、パイロットの紹介。

クイーク
アリーナではトップランクに位置する実力は持っているが、戦うのが面倒くさいと言うことで、未だにEランク。
性格は、普段はボーっとしているが、ACに乗ると頭の回転が速くなる(早くなるだけで、性格そのものは変わらない)

カイル
管理者を破壊した英雄。しかし、本人はそう言われるのが好かない。アリーナではAランク。
クイークとは親友で、良きライバル。
性格は、沈着冷静。物事を良く見極める目を持つ。

フドーケン
最近レイヴン試験を合格した新人。しかし、技術は新人以上。
性格は、物静かで、相手の私情にはあまり突っ込まない(本編ではあまり静かではなかったが)

ミリィ
カイルの弟子。
剣術は、クイーク、カイルに次ぐ能力の持ち主。アリーナでは、Cランク。
性格は、カイルに似て冷静に物事を見ることが出来る。何かと人に冷たい姿勢をとるが、根は仲間想いで、優しい。

カイザル
四脚ACを操る謎の男。
クイークとは何らかの因縁あり。
性格は不明

かなめ
軽二脚ACを操る謎の少女。
カイザルと共に行動することが多い。
更に、ACに積載過多無効、エネルギーの長時間、キャノン構え無効など、明らかにおかしい機能が付いている。
性格は不明

????
性別が男と言うこと以外全てが謎の人物。
敵か味方か、何故ACに乗っているのか、それすら分からない。

以上です。
作者:カイルさん