サイドストーリー

サイレントライン:ハザード社の蜂起
「・・・・これまでの話をまとめると、こういう事か・・・。」
シャウシュッツがつぶやいた。ここはシャウシュッツの自室。
ここにいるのはシャウシュッツの他にブレイ、ハンク、なぜかミリィ、あと伝説といわれていたレイヴン、テイルとクロノ。
彼等はあの後戻り、テイルとクロノの機体を整備の人に任せて、二人を自室の呼んだ。
そこではブレイとミリィが夕食の準備をしていた。
その後、ハンクも来て、夕食を取った後にテイルから話を聞いた。
「ハザード社は今までの戦士を復活させようとしている・・・と。」
「はい、先の戦いで戦ったあのACは、レオス・クラインのAC、リベリウスです。」
「レオス・クライン・・・・火星の騒乱の首謀者といわれた人ですか・・・。」
クロノは頷く。
「その他にも、脱出する時、ナインボール、スティンガーのヴィクセン、・・・・。」
「あと、フライトナーズ各機体、フライトナーズの副隊長に位置するボイルのディスクライ、
同じく作戦参謀のレミルのヴァイスリッターがありました。」
「最後に、再生途中だったらしいですが、ファンタズマとセラフ、あとスカラバエウスを確認しました。」
「スカラバエウス?」
「クラインがフォボスで乗った機体か・・・。」
またクロノは頷く。
「しかし、これでも、こちらが攻撃できる状況じゃないし。」
「確かに・・・・。」
今やハザード社はクレストやミラージュと同じ位の力を持っている企業である。
しかも、アースグライドの戦いで多くのレイヴンが死んだ。今攻め込むのは自殺行為に過ぎない。
「取り合えず、今日は休んで、明日、また話す事にしましょう。」
ブレイの提案に賛成し、それぞれ部屋に戻って、テイルとクロノはシャウシュッツの部屋で寝る事にした。

「目標領域に到達。」
一機の特殊なACが言った。数は確認出来るだけで30ちょっと。しかし、姿は異様だった。
空を飛んでいるのは、通常のACにヘリのローターを背中につけて、手にはマシンガンだけ。
地上にいるのは、中二脚、いやフロート二脚に武装は右腕一体型シールドガトリングと左腕にバズーカを装備していた。
「行くぞ、我等の栄光の為に。」

爆音。
そこは町だった。家のほとんどが燃え、辺りをMTが破壊し続けている。
そこを一人の少年が走っていた。
「どこ、皆はどこに・・・・。」
少年は道路を右に曲がった。
「あ・・・・。」
そこには、まだ燃えていない家、自分の家があった。
「おかあ・・・・。」
突如、飛んで来たミサイルに家が直撃。爆発。爆風で少年は吹き飛ばされる。
少年が立ち上がろうとした時、後ろでMTが少年を踏み潰そうと足を上げた。
ガシャ。
MTは足を上げたまま突如現れたACの銃で吹っ飛ばされた。
すぐに近づき、至近距離からショットガンを発射する。
そのACは、素早く残っていたMTを破壊する。
「あ、ああ・・・。」
少年は燃える家を呆然と見上げていた。後ろにACが近づき、パイロットが降りてきた。
「・・・・・。」
パイロットはその少年をただ見ている事しか出来なかった。

「はっ!!」
ブレイはとっさに起きた。額には汗が垂れていた。
「久々に見たな・・・・家族の死んだ夢・・・・。」
ブレイは風呂場に行き、汗まみれの衣服を脱ぎ、シャワーで汗を流した。
「ふぅー・・・・・・。」
ブレイは風呂場から出ると、水を飲んだ。
突如床が揺れ、爆音が響き渡った。
「何だ!?」

地上にいたAC部隊が前線突破、空中の部隊が残っている敵を破壊するという、
フォーメーションの取れた戦法で、防衛をしていたMT舞台を壊滅していた。
「防衛のMT部隊は?」
「全滅しました。」
「よし、各機、施設を破壊せよ。」
地上のACが破壊を開始。空中の部隊は辺りを警戒する。
「・・・・ん?」
一機が何かに気が付いた。格納庫に高エネルギー反応。
見てみると、格納庫から一機のACが出てきていた。
「て・・・!」
通信機に叫ぼうとした時、高エネルギーの塊が空中部隊を破壊する。
ブレイのエターナルMK‐Wである。
後ろからミリィのエクセル、ハンクのエリアルガンナー、シャウシュッツのソリッドランサーが来た。
「こいつ等は・・・・?」
「あのエンブレム、ハザード社の物よ!!」
地上のACのエンブレムを見て、ミリィが叫んだ。
「やはりハザード社が裏にいたか・・・・。」
「グローバルを守るぞ!皆、敵を破壊するぞ!」
『おおー!!』
全員は各々攻撃を加える。
しかし、いくらトップレイヴンでもACを、しかもこれだけの数を相手に長く反撃は続かない。
いつの間にか、囲まれ、一箇所に集められた。
「このままでは・・・・・くそっ!!」
「終わりだな、レイヴ・・・・。」
バズーカを向けた地上のACが何者かに切り捨てられる。当然、シャウシュッツ達ではない。
「この程度で苦戦するとは、情けないぞ、シャウシュッツ。」
「まだ、新型の力を扱えきれてないみたいね、ミリィちゃん。」
「これでは、準備運動位だぞ?ブレイ。」
突如現れた三機のAC、フォーニングMK―W、デスラウンドMK―U、ハザ―マスターがそれぞれ言う。
「カイル・・・?」
「あんたは、あの時の・・・・。」
「来るなら、もっと早く来い、親父。」
「・・・親父は止めろ。」
「良いじゃん。俺にとってあんたは親父だ。」
「話は後だ、行くぞ!!」
この三機が現れた事により、形勢は逆転。ACの部隊は一分を経たずに全滅した。
「シャウシュッツ、聞こえますか!?」
「どうした?」
「ハザード社が全企業、人類に対して武装蜂起をしました。」
「何だって!?」
「レイヴンは至急グローバルに戻って来い、と。」
「了解、カイル。」
シャウシュッツはカイルを見る。
「何だ?」
「話を聞きたい。一緒に来てくれるか?」
「・・・いいだろう、あと・・・。」
カイルはACの指で自分の後ろを指す。そこには何機かACがいた。
「あいつ等も一緒だ。いいか?」
「レイン。」
「・・・・長官はいいそうです。」
「いいそうだ。」
「分かった。」
カイル達はグローバルの格納庫にACを入れた。

「しくじったか・・・クライン。」
「すみません・・・しかし、次こそは!」
「分かった。各員状況を報告。」
そこは、一種の司令室に近い空間であった。中央に、総帥と言われた男とクラインが
いた。周りには男たちがキーボードを叩いている。
「要塞建造率40%、防衛能力完成。」
「プロジェクト、完成率70%。」
「ナンバー7からナンバー13まで再生完了。」
「ナンバー4からナンバー6までの意識回復を確認。」
「そうか・・・・クライン、君には当分の間部下の訓練を手伝ってもらう。」
「・・・了解しました。」
クラインは、そのまま出て行った。
「どんな歴史にも終わりがある。我々は、その歴史を終わらせ、新たなる歴史を作るのだ。」
男は、誰に気づかれない声でつぶやいた。
作者:カイルさん