サイドストーリー

サイレントライン:時空転移装置の謎
空中要塞での戦闘を終え、帰還するための輸送機を
待っている3人は、これからのことについて話し合った。

「どうにか退けたが、相手が居ないのでは
 ての打ちようがないな。」

「そうだな、エース。」

「・・・戦闘中にこんな音声を拾ったんですけど
 どうでしょうか?」

ふいにサイラスが戦闘中に録音したカーライルの
通信を再生する

「・・・脱出したか・・・」

「・・・ご苦労だった、カーライル。
 あとはお前も脱出しろ。」

「・・と言うことは、カーライルは
 時間稼ぎの囮か!!」

「・・・残念ですが総帥、その命令を聞くわけには
 参りません。」

「カーライル、ここで無駄死にをすることは無い。」

「いえ、私はここに死に場所を見いだしました。
 ・・・そして、シャウシュッツと決着を!!」

「・・・τ(タウ)ポイントで待っている。
 生きていたらここで合流だ。」

「ありがとうございます、総帥・・・」

「・・・これは!!」

「・・・τポイントだと?
 一体、何処なんだ?」

「自分は分かりません。
 ただこれは重要な手がかりになるのでは?」

「ああ、間違いない!!
 サイラスと言ったね?ありがとう、
 これで何とかなりそうだ。」

「ええ、偶然傍受した通信が役に立ちました。」

「・・・輸送機が来たみたいだ。」

「そうだな、エース。
 帰還しよう。」

「・・・所で気になったのですが、
 この要塞はどうするんですか?」

「それは、あとで調査隊が来るだろう。
 帰還するぞ、サイラス。」

「分かりました、エースさん。」

ほどなく、輸送機から通信が入る

「旦那、生きてやしたかい!!」

「ああ、必ず生きて帰るのが
 俺の礼儀だからな。」

「さあさ、お二人方ものってくだせえ。」

回収に来た輸送機に乗り込むと、
すぐさま飛び立ち、グローバル社に急行する。

「・・・しかし、今回の戦いは
 以前以上だなシャウシュッツ?」

「ああ、以前より戦力、規模が桁違いだ。」

「以前の大戦というのは「管理者の反乱」
 の事ですか?」

「ああ、あの時も死闘を繰り広げたが
 今はそれ以上だ、サイラス。」

「そうだったんですか。」

「あの時もエースに救われたんだったよな?」

「そう言えばそうだったな。」

「それと、BBはどうしてる?」

「ああ、あいつは家族と一緒にのんびり
 暮らしているよ。
 本人は参加したいそうだが、家族のことを
 考えてな・・・」

「そうだな、いつまでも頼っているわけには
 いかないな。」

「そう言うことだ。
 ミストはミストでどうしているやら・・」

「そう言えば、戦闘中に見なかったな。」

「ああ・・・聞いたか、シャウシュッツ?
 ミストがこの決戦の直前に行方不明に
 なったと言うことを?」

「いや、聞いてない!!」

「・・・丁度その頃ヤツは依頼を終えて
 帰還しようとしたらしいんだが、
 どうも、輸送機に乗った辺りから
 分からなくなって居るんだ。」

「・・・D機関が絡んでいる可能性が高いな。」

「ああ、だが決戦の直前と言うこともあって
 グローバル社も対応できなかったらしい。」

「・・・盗み聞きして悪いんですが、
 今会社はとんでもないことになってますよ。」

「企業のMT部隊やレイブンの方も被害が
 尋常でないとなると、ミストのことが
 どうなるか分からないな。」

「・・・いずれにせよ、奴らと決着をつけないとな。」

「そうだな、そうすれば何か分かるかも知れない。」

「・・・そろそろつきやすぜ、旦那。」

「ああ、・・じゃあ、続きは社内だな。」

3人が格納庫に機体を格納しようとしたら、
大破したACなどが道をふさぎ、さらに
企業やグローバル社のスタッフが
あっちこっちの機体を修理しており
格納どころではなかった・・・・

「あちゃ〜、やっぱりこうなったか・・・」

「だが、こちらも機体を格納しなければ
 どうにもならんだろう。」

「でもエースさん、これじゃあどうしようもない気が・・・」

「・・・Drユージンに頼んで、
 研究所に格納させてもらおう・・」

「連絡できるか?」

「今やってる・・・・Drですか?
 ・・はい、シャウシュッツです・・・・・
 と言うわけで、そちらに機体を置かせてもらえませんか?
 ・・・・分かりました、すぐ行きます。」

「・・・どうやら、OKらしいな。」

「ああ、早速スタッフを待機させて待ってるらしい。」

「では行きましょうか、シャウシュッツさん。」

「ああ、場所は第2都市区の4ブロック目にある。」

「分かった、輸送機で運んでもらおう。」

「親父さんには悪いけど、仕方ないな。」

仕方なく、3人は降りるのに使った大型エレベータを
起動させ、輸送機発着所に戻る
そこには既にスタンバイしている輸送機があり、
親父さんから通信が入る・・・

「やっぱり、そうなりやしたか・・・」

「・・・分かってたんですね・・・」

「いやぁ、もしかしたらな・・・と思って
 ずっとスタンバっていやしたよ。」

「何はともあれ、これでいけるな。」

もう一度、3人が輸送機に乗り込み
Drが待つ研究所に急行する
5分もしないうちに目的地である
研究所にたどり着くと
すぐさま、輸送機が入れるクラスの
ゲートが開き、輸送機ごと入り込む。

「まっておったぞ、シャウシュッツ。」

「お世話をかけます、Dr・・」

「・・・機体をハンガーに動かせてもらえますか?」

「ああ、済まない・・・」

格納庫に待機していたスタッフにせかされ、
いそいそと3人はハンガーに機体を格納させる。
コクピットから出てきた3人はDrに案内され
比較的広めの部屋に通される。

「取り敢えず、ここでゆっくりしていってくれ。
 シャワーは奥のドアにある。」

「いろいろと迷惑をかけます。」

「何を言っているんじゃ、お前達はしっかりと
 自分の仕事をこなしてきた。
 あとは我々の出番じゃ。」

「シャウシュッツ、先に浴びているぞ。」

「ああ、分かったエース。」

「冷蔵庫には冷たい飲み物もある。
 社には連絡してあるから、
 とにかくゆっくりしていってくれ。」

「はい、ではお言葉に甘えさせてもらいます。」

そう、お互いに話し合うとDrは去っていき
サイラスが、1本のビール瓶を持ってきた。

「エースさんが居ないですけど、カンパイしましょうか?」

「ああそうしよう、喉がカラカラだ。」

グラスにビールを注ぐと小麦色の液体が
心地よい音を立てながらグラスを満たす
ぐいっとビールを一気に飲み干すと、
まるで何十年ぶりかのように
安堵の色が体を支配する・・・

「ふぅ、よく生き残ってこれたもんだな・・・」

「ええ、あの状況下で生きているのが不思議なくらいですよ。」

「そう言えば、君は新人だったよね?」

「ええ、つい1ヶ月前にレイブンになったばかりです。」

「エースとはいつ知り合ったんだ?」

「レイブンになってすぐにアリーナに出場したときです。」

「なるほど・・そこで君の実力に目を付けたのか・・・」

「ええ、それ以来エースさんとは師弟関係になって
 今に至ってます・・・」

「師弟か・・・そう言う自分は師匠失格だな、
 自分の弟子一人さえ守ることができなかった・・・」

「シャウシュッツさん・・・大丈夫ですよ。
 きっとリリスさんは生きてますよ。」

「ああ、ぜひそう願いたい・・・」

「・・ビール、いかがです?」

「ああ、済まない・・」

グラスの真ん中に着いていた泡がビールと一緒に
混ざって、水面にほのかな泡を立てる・・・

「・・・犠牲が多すぎる戦いだったな・・・」

「ええ、レイブンや企業のMTパイロットを合わせて
 80人近くが戦死したそうですね・・・」

「ああ、全く嫌な戦いだ・・・」

「・・・こんな戦い、早く終わらせなければ
 なりませんね・・・」

「ああ、そのためにも体勢を立て直さなければな・・」

そうこうしているうちにエースがシャワーから上がってくる

「・・スッキリしたじゃないか、エース?」

「ああ、戦いの後のシャワーは快適だぞ。」

「ビールどうです?」

「ああ、いただこう。」

「・・じゃあ、今度は俺がシャワーでも浴びるか・・」

シャウシュッツが置くのドアを開け、
服を脱ぐとシャワールームを開ける・・・
そこにはシャワー以外にバスタブもあり
おそらくエースが二人のために
丁寧にも湯を入れていた・・・

「全く、らしくないな・・」

シャワーで体の汗を流すと、出来たばかりの
湯船に全身を浸す・・・
そこには、ビールを飲んだときと同じ
感覚がよみがえってくる・・・

「ふぅ、取り敢えずこれで一段落は
 付いたな・・・・」

そう、ゆっくりとした口調で呟くと
先の戦闘を思い起こす・・・

RAY、マスターとアスタロス・・・
それにナインボール隊や
過去に自分の部下であったカーライル・・・
全てを思い起こし、そして
消える・・・

今となってはあの時の戦闘は
夢だったのではないか?と思う
ような気持ちであった・・・

「さて、そろそろ上がるか・・・」

湯船から体をあげると、そばにあった
タオルで体を拭き、シャワールームから出る

自分が脱いだ服のそばに
ゆったりとした着替えの服が置いてあり
小型の洗濯機があった。

「ここに、自分の服を放り込めばいいのか・・」

汗で汚れた服を放り込むと
着替えの服を着る・・・
生地がいいのか、その心地よい肌触りは
心身共に疲れ切ったシャウシュッツに
眠気を誘うような気分さえ覚えるようであった・・・

ドアを開け、部屋に戻ると
緊張や疲れからか、ベッドに横になる
サイラスと、一人ビールを飲むエースが居た

「寝たのか・・・」

「ああ、本人も相当疲れている。
 まぁ、無理もないがな・・・」

「俺達も寝るか・・・」

「ああ、もう午前2時だ・・・」

部屋の電気を消し、お互いベッドに横になり
目を閉じる・・・・

翌朝、使用人が部屋を訪ねる
内容はシャウシュッツのソリッドランサー
の事であった・・・

「旦那様がシャウシュッツ様を呼んでおられます。
 なにか、急用のようでしたが・・」

眠い目をこすりながらDrの元に向かう
シャウシュッツ・・・
向かった先の部屋でDrはゆっくりとコーヒーを
飲みながらシャウシュッツを向かい入れた・・・

「Dr、急用とはなんです?」

「あの機体のことじゃが、先の戦闘で
 かなりガタが来ておった。」

「ええ、それ以外にもあの時の
 戦闘で受けたダメージも残ってましたからね。」

「インフィニティジェネレータとD.F.C.S
  が使えない状況であそこまで戦い抜いたのは奇跡
 としか言いようが無いのじゃが、今回ばかりは
 さすがに限界じゃろう。」

「確かに、今の状態で戦ってもディードリットや
 D機関の幹部達と戦っても
 勝てるかどうか分かりませんね。」

「それに戦闘コードのことじゃが、
 さすがに無理がたたったのか
 ソリッドランサーはあと1回
 が限界じゃろうな・・・」
 
「泣いても笑っても一回きりか・・」

「それと、傍受した通信のことじゃが・・・」

「τポイントのことですか?」

「うむ、あれから調査を続けていたら
 それに該当するポイントが発見できた。」

「本当ですか!!Dr。」

「地上のある一点だけ、なぜかレーダーやセンサーが
 干渉できない、不可侵領域がある。
 おそらく、ここのことだろう。」

「その前に戦力が問題か・・・」

「先の戦闘でかなり痛めつけられたからな。」

「少数精鋭と言っても戦力に差がありすぎる・・・」

「・・・何個かはこちらで用意した新型パーツがある。
 そのうちの一個は、お前用じゃ。」

「銃ですか?」

「うむ、元はエネルギースナイパーライフル
 として開発していた物じゃが、
 エネルギーパイプと内蔵ジェネレータの改良によって
 お前さん向きの銃に仕上げてみたよ。」

「他のパーツとは?」

「それは既にグローバル社に送ってある。
 今頃はメンバーに行き渡っているはずじゃ。」

「分かりました・・・
 それでは失礼します。」

「うむ、ご苦労じゃった・・・」

ドアを開けて部屋に戻ると
シャワーを浴びたのであろう、まだ髪が濡れている
サイラスと備え付けられたテレビを見ているエースが居た

「お帰りなさい、シャウシュッツさん。」

「・・で、何のようだったんだ?」

「・・・サイラス、君のおかげでD機関の
 総司令部の在処が分かった。」

「本当ですか!!」

「ほう、だが戦力が整っていないだろう?」

「ああ、そこが課題なんだがもう一つ
 問題が起きた。」

「・・・ソリッドランサーのことか、シャウシュッツ?」

「気づいていたか・・・エース。」

「あれほどの激戦をくぐり抜けた時のダメージ
 だけでなく、過去に受けたダメージが
 蓄積していたんだろう?」

「ああ、おかげで今度の戦闘はどうなるか分からない。」

「主力なだけに大きな損害だなこれは・・・」

「すまない・・・」

その時、部屋の電話が鳴り出す。
受話器を受け取ると声の主はハンクであった

「シャウシュッツ、元気か?」

「そっちこそ元気そうだな。」

「ああ・・・それで折り入って
 頼みがあるんだが・・・」

「頼み?」

ハンクの突然の要望にしばしとまどう
シャウシュッツ、しかしこの疑問も
次の一言でかき消される・・・

「ブレイブガンナーを譲ってくれないか?」

「・・・なるほど、やはりエリアルは
 ダメだったか・・・」

「時間さえかければ何とかなるんだが
 いまはそう言う暇がないからな。」

「・・・かまわないが、どうするんだ?
 あの機体はお前では使いこなせないと思うが・・」

「そこで、機体に追加装甲を付けて強化するんだよ。」

「タ・ネルテみたいにか?」

「ああ、そうすれば武装の強化も可能だし
 サバイバリビティも向上する。」

「分かった、好きにやってくれ。」

「すまないな、シャウシュッツ・・・
 それと、D機関の居所は分かったのか?」

「ああ、Drが解析したらしい。」

「さすがは今世紀最大の天才だな。」

「ああ、そうだな・・・」

適当に会話をうち切ると受話器を戻し
ベットに横になる。

D機関の居所が分かっているとはいえ
戦力が充実していないこの状況下で
いきなり出撃するのは余りに自殺行為
であったからだ。

「・・・強化型パーツか・・」

「そういえば、コッチにもそう言う話が来たな・・
 俺にはブースタとランチャーが来て、
 サイラスにはブレードだったな。」

「・・・テストしてみるか?」

「そうだな、何もしないよりはマシだ。」

3人が格納庫がある部屋に行くと新品同様に整備がされた
機体があった
そこにはすでに新型パーツが搭載されており
3人を驚かせた

「もうやっていたのか・・・」

「ならば手間が省けたという物だ。」

「じゃあ、テストでもやりましょうよ。」

「バトルロワイヤルでいくか?」

「そうだな、そのほうが性能がわかりやすい。」

早速ACに乗り込むと、システムをテストモードに
移行させて、テストに移行する。

「じゃあ、テスト開始だ!!」

ダダダダダダッ!!

開始と同時に新型ブースタに改良されたアルカディアが
勢いよく動き、チェインガンを二人に浴びせかける
シャウシュッツは巧みに避けるも、サイラスは
やや反応が遅れ、脚部に被弾する・・・

「やべっ!!足がやられた!!」

動きが鈍ったサイラスの機体ダブルグラディウスに
今度は新型グレネードを試す!!

「・・・ロック完了、発射!!」

ドゴオォォォォン!!

轟音をたてながら発射されたグレネードはダブルグラディウスが
居たはずの地点に着弾する・・・

「もらったあぁぁ!!」

ガシュン!!

新型ブレードを構えて急上昇した機体はアルカディアに肉薄する!!

「ちっ!!だが!!」

「・・・コッチにもいるのを忘れるな・・・」

キュイイィィィン・・・ズガアァァン!!

死角に移動したシャウシュッツはサイラスに気を取られている間に
新型エネルギーライフルを射撃する!!

「うわあぁぁ!!」

大きくバランスを崩した機体はダブルグラディウスの斬撃
をまともに受け、撃墜される・・・

「ちっ!!ゲームオーバーか!!」

だが、撃墜されたのはエースだけではなかった・・・

「・・・なぜ?・・いつの間に・・・」

ダブルグラディウスがブレードを振って
無防備になった瞬間にシャウシュッツは第二弾を
発射していた・・・・

テストモードが終了し
3人が機体から出てくると新型パーツのことで
色々な議論が出ていた

「新型グレネードは思ったより使いやすいな。
 リコイルが改良されていて撃ち味が
 非常にマイルドだ。」

「ブレードだって、今までより細くなって
 さらに射程がのびてますからね。」

「コッチの新型ライフルも連射と単発で
 使い分けが可能だから、今までより
 射撃戦で優位に立てるな。」

「あの時は単発だったよな?」

「ああ、結構な出力だ。
 その辺のエネルギーライフルでは到底
 足元にも及ばないだろう。」

「他の人にはどんな武装が配備されたんでしょうかね?」

「さあな、それは会社に戻れば分かるんだろうが
 今はコッチでゆっくりしているのが一番だろう。」

「そうだな、それに向こうに戻ってもそれどころでは
 なさそうだしな。」

3人が部屋に戻ろうとしたとき、慌てた雰囲気の
研究員とシャウシュッツがぶつかった

「いてて・・・」

「あっ、すいません!!・・・
 ってこうしちゃいられない!!」

「おいおい、何があったんだ?
 その様子だとただごとではなさそうだが・・・」

「取り敢えず、Drの所へ来てください!!
 緊急事態です!!」

慌てた研究員に付いていき、Drの部屋に向かうと
そこで驚愕の事態を聞かされることとなる。

「なんだって!!それは本当かね、イサカ君!!」

「はい!!調査隊の報告と映像を見る限り
 事実です!!」

「おいおい、どういうことだ?
 あの馬鹿でかい空中要塞が「消えた」なんて・・・」

「・・・あれのことか?」

「シャウシュッツ、なにか心当たりでもあるのか?」

「ああ、これは俺がD機関の兵士だったときに
 聞いた話なんだが、当時「時空転移装置」なんて物を
 作っていたという話が聞いたことがある・・」

「・・・まさか、あれが開発されたのか・・・」

「そうでしてね、当時最高責任者だったのは
 Drでしたから・・・」

「ただ、単に相手が消えるなら以前に報告があったと思うが・・」

エースが、以前にD機関のACが戦闘中に消える
と言うことを持ち出した

「確かに、ACクラスなら容易なんじゃが
 空中要塞クラスといった大がかりな物になると
 単に物質を転移させるだけではすまないのじゃよ。」

「どういうことですか?」

「つまり、質量と空間干渉の関係なのじゃが
 我々物質は、この空間に存在する訳なのじゃが
 その存在するために空間に干渉・・・
 簡単に言えば水に物を入れ込んだと同じ状況
 にしなければならんのじゃ。」

「・・・そうか、小さい物なら抵抗無く
 引き上げられるが大きい物だと
 莫大な負担と力が必要になる!!
 と言うことですか、Dr・・・」

「察しがいいのう、つまり
 ACといった10mクラス程度の
 物質ならその場の磁気干渉と小規模な
 空間歪曲程度で済むんじゃが
 大がかりな物になると空間崩壊
 がおきて物質そのものが爆発してしまうんじゃ。」

「だが、時空転移と空間歪曲のつながりが
 読めないが・・・」

「さっき話した空間転移の方法じゃと
 空間から無理矢理引っ張り出すことになるので
 問題が大きいのじゃが、
 時空転移・・つまり物質の存在時間係数を
 転移させるとタイムマシンのように
 時間だけを転移させることが可能になるんじゃ。」

「時間を転移?」

「つまり、時間を転移させることにより
 その時間内ではその物質はその場では
 存在できない・・・
 そうすることでどんな物質でも
 物の最小単位まで圧縮可能になるので
 干渉を最小限に押しとどめて
 後は通常の空間転移が可能になるんじゃ。」

「なるほど・・・となると
 やつらは何をしようと言うんだ、その装置で!!」

エースが、疑問を投げかけるとシャウシュッツが・・・

「おそらく奴らは過去に大部隊を送り込むつもり
 なんだろう。・・・大破壊の阻止と
 この世界の完全なる独裁と共に・・・」

「・・・完全なる、人類の粛正を図ろうと
 しておるよ、D機関はな・・・・」

「そうとしたら、もう奴らは!!」

「かもしれない、とはいえこの状況では
 進軍は無理だ・・・」

「何か打つ手はないのか・・・・」

      サイレントライン:時空転移装置の謎 完
作者:ハンクさん